東京地方裁判所 昭和30年(ワ)9158号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔事実と判断〕本件約束手形は被告組合の代表理事によつて振出されたものであるが、これについて被告組合は、被告は中小企業等協同組合法に基いて設立された組合であるが、手形振出については同法三六条の二により業務の執行として理事会の議決を経なければならないのに、本件手形はその議決を経ないで振出されたものであるから、被告組合に対する関係では無効であると抗争する。
右の点について、判決は次のように説いて被告の主張を斥けている。即ち「同法条(中小企業等協同組合法三六条の二)は組合の業務執行についての内部関係を規制したもので、この規定に反する業務執行をした理事が組合に対して損害賠償等の責任を負担することはあるであろうが(同法三八条の二等)、代表理事が組合の事業の範囲内で組合を代表してなした行為については、内部関係において、前示法条に反するものであつても、組合の行為として有効に成立したものと解さなければならない。ところで手形振出の如きは、元来金銭取引の一手段であつて、具体的場合における手形振出の事情から離れた客観的法律現象としては、組合の事業遂行に当然包含されるもので、事業の範囲内にあるものと云わざるを得ないのであるから、代表者の代表権限内のものであり、被告組合の代表理事が組合を代表して振出したものであることはすでに認定した通りであつてみれば、内部関係において右振出が前示三六条の二の規定に適合すると否とに拘らず、被告組合において振出人の責を免れるものではない。